「わからない」ということの真意

「わからない」という感覚は、誰もが経験したことがありますよね?

私はは日々の臨床の中でお客様に様々な質問をします。

今日の調子はどう?前回に比べて変化したことはある?触っている感じがわかりますか?とか、どこが頑張って動かしていますか?など

セラピストの多くは「わかりません」と言われることの方が多いですよね?

しかし、この「わからない」という感覚にはどんな真意が隠されているのでしょうか?そして、それをどのように解釈すればよいのでしょうか?今回は、その真意について探ってみましょう。

「わからない」とは何か?

いくつかの側面に分類して考えることができます。

まず、「わからない」という感覚の認知的側面を考えてみましょう。これは主に情報不足や複雑さに起因します。新しい分野や専門的な内容に直面すると、知識や情報が不足しているために理解できないという状態になります。また、問題や情報が複雑で、多くの要素が絡み合っているときにも、「わからない」と感じることが多いです。

次に、情緒的な側面です。「わからない」ことに対する不安や恐怖、自信の欠如が原因で、理解しようとする意欲が低下することがあります。例えば、失敗や評価を恐れることで思考が閉ざされてしまい、「わからない」と感じることがあります。

心理的な要因も大きな役割を果たします。学ぶ意欲や興味が不足していると、「わからない」と感じやすくなります。内発的な動機付けがないと、理解に向けた努力を続けるのが難しくなります。また、固定観念やバイアスが思考を妨げることもあります。

社会的な期待やコミュニケーションの問題も、「わからない」と感じる原因となります。他者の期待や評価を気にしすぎるとプレッシャーが強まり、理解が進まないことがあります。また、情報の提供者と受け手の間でのコミュニケーションが不十分であると、理解が進まないこともあります。

最後に、意識的な側面についてです。自己内省の不足や集中力の欠如も、「わからない」と感じる原因です。自己反省やメタ認知の不足が理解を妨げることがあります。

「わからない」を克服する方法

以上のことから考えると、わからないというものには「知識が全くなくわからない未知のもの」と、「理解したくないか、考えたくない」ということのようです。

今の時代スマホで調べればすぐわかりますので、数学の難しい問題じゃない限り前者の方はあまりないでしょう。

そのため、基本的に日常生活や臨床でのわからないは、後者の方が圧倒的に多いのではないかと考えています。

つまり、どのレベルや難易度であれば、理解してくれようとするか、考えようとしてくれるかというところが、重要になってきますね。

おわりに

「わからない」という感覚は、避けられないものですが、その真意を理解し、適切に対処することで克服できます。
脳卒中の感覚障害にも程度がありますが、完全に感覚がわからない「感覚脱失」という方には会ったことがありません。

つまり、ほぼ全ての人が、「ちょっとわかっている」はずです。

わからない。で終わってしまうのでなく、その真意を考えていけるようにしたいですね。

筆者プロフィール

代表:藤橋亮介

理学療法士 脳とカラダの研究所 代表

藤橋 亮介(ふじはし りょうすけ)

〜経歴〜
2011年 理学療法士 国家資格取得 
札幌市 (旧)宮の沢脳神経外科病院に勤務

2014年 摂南総合病院 認知神経リハビリテーションセンターに勤務

2015年 畿央大学 ニューロリハビリテーションセンター
健康科学研究科(大学院)に入学
2017年 修士 取得

2019年 児童発達支援・放課後デイサービス 事業所に勤務

2020年 「脳とカラダの研究所」を開業

脳卒中後遺症を専門に、あきらめない方のためにそれぞれの脳のクセにあったオーダーメイドの脳のリハビリを提供する自費リハビリをおこなっています。

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