開眼と閉眼での運動の違い
ほとんどの方は、目を閉じて運動なんてしていませんよね。
しかし、目を開けている時と目を閉じている時の運動は、脳の活動が全く違うことをご存知ですか?
脳とカラダの研究所では、目を閉じて訓練を行うことが多いのです。
北海道札幌市で脳梗塞・脳出血の脳卒中を専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。
本日は、あまり知られていない、運動と「見ること」についてお話をしていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。
運動の命令は2種類
体に運動の命令をする際に、脳は2通りの方法で命令します。
①座標を変更
身体のこの部位を、あの地点からあの地点まで動かす。という命令です。
例えば、コップをつかむのに、手を膝の上から、コップの位置まで待っていくということや
歩いていて、水溜りがあるので、避けようとする動きです。
これらの動きは、視覚情報を頼りに命令されます。
つまり、見ている必要があります。
②力の入り具合や、〜な感じ
グッと踏む感じ、スッと立ち上がる感じ、真っ直ぐな感じなどの体で感じる感覚を頼りにして、運動の命令が行われます。
つまり、目をつむって見なくてもできる運動になります。
こちらは、体性感覚情報を頼りに命令されます。
それぞれ、運動前野というところを通るか、補足運動野というところを通って命令されるか、運動の命令の元となっている情報や通り道が違う訳です。
体性感覚の重要性
比較的、手のリーチング(何かをつかむ動き)は①の視覚性の運動によって行われます。
歩行やバランスについては、②の体性感覚性の運動によって行われる割合が多いです。
何かに手を伸ばすときは、さすがに目でみて動きますが、
歩いているときに、足元をずっと見てはいませんか?
下肢や体幹に関連する運動は、見ないで行われる要素が多いです。
つまり、いつも足元ばかり見て運動していると、本来使われているはずの体性感覚性の運動に使われるはずの脳の活動が促されていない可能性があります!
それぞれの症状によって、どの脳の活動を促していけばいいかは異なりますが、使えるはずなのに使えていない場合は勿体無いことになります。
閉眼での訓練
体性感覚性の運動を行いたい場合は、目を閉じることで行えます。
立った状態だと転倒の危険がある場合は、必ず安全な座位か寝ながら(臥位)で行ってくださいね。
例えば
座った状態で、目を閉じて、両足の位置を揃えます。
・右足が前に出ているか?左足が前に出ているのか?
・足の裏の着き方は同じか?
準備ができたら、良い方の足の踵を、麻痺側の足の親指の位置まで動かしてみましょう。
視覚性運動の座標変換のように感じますが、元になっている情報は膝の角度の違いによる足の位置の情報や、足の裏のついている感触の変化という体性感覚を元にしている運動です。
目を閉じるだけで、全く足の位置がわからない。
動いている感じがしない。
という方は、このような訓練をしっかりしていくことが必要な場合もありますよ!
最後までご覧いただきありがとうございました。
最近、動画はあまり撮れていませんが、文章でわかりづらいことがあれば動画で説明いたしますので、お気軽にコメントをいただけると幸いです!
筆者プロフィール
理学療法士 脳とカラダの研究所 代表
藤橋 亮介(ふじはし りょうすけ)
〜経歴〜
2011年 理学療法士 国家資格取得
札幌市の脳神経外科病院に勤務
2014年 大阪府 認知神経リハビリテーションセンターに勤務
2015年 奈良県 ニューロリハビリテーションセンター
健康科学研究科(大学院)に入学
2017年 修士 取得
2019年 札幌市に戻る
こども発達研究センターに勤務
2020年 独立し、「脳とカラダの研究所」 を開業
脳卒中後遺症を専門に、あきらめない方のためにそれぞれの脳のクセにあったオーダーメイドの脳のリハビリを提供する自費リハビリをおこなっている。
少しでも伝わりやすいように動画でわかるYouTube チャンネルもはじめました。
是非ご覧ください。