運動の3通りの伝え方
北海道札幌市で脳梗塞・脳出血の脳卒中を専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。
リハビリテーションとは、re(再び)+habilis(適する)という意味で、奪われ・傷つけられた尊厳・権利・人権が本来あるべき姿に回復することとしてとらえ、「全人間的復権」という意味があります。
病気やけがなどによる後遺症を持つ人の社会復帰のために行う身体的・心理的訓練、職業指導などを行うことです。
もっと簡単にとらえると、できないことや困っていることをできるようにしたり、問題を解決できるように支援してあげることだと思っています。
そのため、セラピストは相手に「何かを教える(伝える)」ということが必要になってきます。
今回は、教える(伝える)ことについて3つの方法についてお話ししていきたいと思います。
3通りの教え方
相手になにか伝える時には、3通りの方法があります。
①言葉で伝える
②見て伝える
③カラダで伝える
それぞれ、①言語、②視覚、③体性感覚に区分されます。
例として、相手に「手を挙げる」ことを教えてみることにします。
①言葉で伝える(言語)
単純に、「手をあげてください」というと、相手は聞き取って、理解してくれると伝わります。
さらに、他の方法で伝えることもできます。
・ワキを開くように腕を上げてみてください
・腕が耳につくように上げてみてください
・手が天井に届くようにしてみてください
などなど。
どれも同じように手を上げる動作を伝えていますが、言葉の伝え方が違うと注目する部位が違ってきます。
どの方法が上がりやすいかもそれぞれで異なってくることが多いです。
②見て伝える(視覚)
これは、マネをさせるということです。
言葉を使わなくても、自分の動きをよく見てもらって、マネをしてもらうことで、同じ動きを伝えることができます。
その際に、肩を動かすか、肘を動かすかなど、動き方の違いを見つけてもらうことで、より正しい運動を伝えることができます。
③カラダで伝える(体性感覚)
言葉や、目で見てマネをさせなくても、目をつむっていても、自分が相手の体を介助するように動かしてあげることで、動きを伝えてあげることができます。
これは、相手がカラダの動きを感じ取って、同じように再現してくれるもので、体性感覚(主に筋感覚)が重要になります。
使い分け
このように3種類の方法を使うことで、相手に何かを教える(伝える)ということができます。
しかし、これらの方法の多くは組み合わせによってできています。
この組み合わせが、複雑になるほど脳で処理する難易度も上がるので、それぞれの症状や能力に合わせて使い分けることが必要です。
例えば、失語症のある方は、①言葉で伝えることが難しくなるために、他の②や③の方法で伝える方が良い場合が多いですし、
感覚麻痺の強い方は、①や②の方法で伝える方が良い場合もあります。
そして、感覚を取り戻すためにも、伝えやすい方法で伝えつつ、苦手な伝え方を少しずつ取り入れていくことがリハビリにもなっていきます。
この組み合わせの設定には、難易度の調節が必要になりますので、また次回詳しく紹介させていただきますね。
みなさまのコメントや意見が、とても私の励みになりますので、ぜひお気軽にコメントやお問い合わせください!
本日もご覧いただきありがとうございました。