「痛み」が生き物にある理由
北海道札幌市で脳梗塞・脳出血などの脳卒中専門に自費リハビリをおこなっております、「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。
前回に引き続き、痛みについて、お話しさせていただきます。
「痛み」というものは、体に直接的な損傷がなくても感じるものであり、それぞれの個人の経験や痛みに対する情動により、変化するということでした。
脳卒中では、脳の損傷がおこりますが、身体の筋肉や神経については、損傷がないにもかかわらず、痛みというものを経験することがあります。
そうなると、痛みは気持ちの問題であって、幻想?
と思ってしまいますが、幻想ではなく、痛みは確かに事実です。
ではもう少しだけ、痛みについて理解を深めてみませんか?
痛みの存在意義
人だけでなく、生き物にはうまく生きていくための機能がたくさん備わっています。
代表的な原始反射というものも、脳卒中になると、病的反射として再び現れます。
握りたくないのに手のひらに刺激があると握ってしまう反射のことです。
この反射も脳梗塞になってからおこると、邪魔だなと感じてしまうかもしれませんが、そもそも生き物の発達として非常に重要なものです。
この反射は、サルが赤ちゃんの頃に、母親にしっかりしがみついているために存在していると言われています。
人間にとっては、2足歩行となったので、両手が自由となり、お母さんがしっかりと抱っこしてくれるので、そこまで必要ないかもしれませんが、
おそらく、大きくなる成長する過程において、握るという手の発達にも神経の発達を促してくれているのかもしれません。
そのように、いらないものも生きていく上で必要なものということがあります。
では痛みはどうでしょう?
痛みは、全ての生き物に備わっていると思われます。
痛みは、できるだけない方が快適な生活ができますし、快適なので、そもそもネガティブなイメージが多いですが、生き物のどのようなことに役立っているでしょうか?
結論は、痛みは危険を教えてくれるための、警告信号です。
実際に身体に損傷が起こると、その損傷部位を特定して、そこにさらにダメージが出ないように知らせてくれています。
腹痛も、なにか悪いものを食べてしまったということを教えてくれたり、
頭痛も、原因は様々でしょうが、血圧が高くなりすぎていたり、目や首周りの疲れがピークを超えてしまったりと、何らかの体の損傷を広げないための警告として考えることができないでしょうか?
だからこそ、痛みは薬や麻酔で簡単に消し去ってしまえばいいということではないと思うのです。
ただし、痛みによって生活自体がままならない場合や、どうにもならない場合は、薬を併用することも重要となってくると思いますが、最終的には薬に頼らなくても、痛みの原因や解決方法を探していくことが、ご自身の身体のためになると思うのです。
脳卒中の痛みの原因
では、脳卒中の痛みが警告信号だとすると、何を教えてくれるのでしょうか?
痛みが引き起こされる原因は、情動的な経験を含むので、これが原因!とすぐに判断はできないかもしれません。
しかし、その多くは、感覚情報の不一致です。
動きに伴って、本来得られるはずの感覚が、脳に伝えられないことで、脳はその体の部位に異常があるのではないか?と警告を出してくれている可能性が高いのです。
脳卒中になると、うまく運動ができない状態になりますが、その状態に気づくまで、病気になる前の以前のように動こうと脳は命令を送ります。
しかし、身体の動きが違うので、違和感が生じます。
その違和感が、痛みの原因になったり、
間違った動きを無理やり正そうとすることが、筋肉を想像以上に使って疲れていたり、筋肉でなく関節に負担がかかり過ぎている場合があります。
そのような身体の反応が続くと、筋肉は緊張が上がったり、血流が滞ったり、実際に損傷が起こってしまうこともあります。
自律神経がうまく働かなることも要因としてはありますし、注意機能の低下によって、そもそも運動がおこなわれていないことが原因となることもあります。
痛みとしての感覚を知りましょう。
足があるのはもちろん知ってたけど、踵がついている感触がなかった。
足首から下がない感じがする。
足がとても重い。
とても小さく感じる。
ビリビリと痺れていて、触った感触もビリビリの強さでしかわからない
など、足が正常に感じられないという経験が、負の情動を伴うことで、痛みが起こっているかもしれません。
原因は複数あるかもしれませんが、脳にとって重要な情報を正しく受け取れることが、痛みを理解する上で一番重要だと思われます。
どんな情報がとれるようになると、脳は警告を出さなくて良くなるか?ということについて丁寧に判断していくことで、痛みの軽減や、運動の改善につながることが考えられます。
根気のいる作業ですが、痛みを無視せず、しっかり気づいてあげることが重要だと思います。
病気や痛みも、一人ではわからないことがたくさんあります。
どんなことでもいいので、気になることがあればご相談くださいね。
きっとお力になれることがあると思います。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。
文字で書くことにも限界があるので、そろそろ動画のほうでも配信していきたいと思っておりますので、ぜひご覧いただければありがたいです。
今後ともよろしくお願いいたします。