足がなくても歩ける理由は?
北海道札幌市で脳卒中専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。
前回の内容では、機能環と呼ばれている図を使って、うまく運動するためには、感覚が重要だということをお話しさせていただきました(機能環という考え方)が、
よく間違えやすいこととして、「触った感触が鈍い」「動いた感じがしない」というような感覚麻痺(感覚鈍麻)に対して、その感覚を良くしましょう!というような単純なことでは無い。ということです。
例えば、前回使用させていただいたように、膝から下の義足の方で考えてみましょう。
脳卒中の下肢の麻痺と 下腿切断の義足は どっちが機能的?
事故や病気などの何らかの原因によって、膝から下の足を失った方がいるとします。
そのような方が、義足を使用して歩けるようになる方はたくさんいらっしゃいます。
もちろん、健康な時と同じようにとはいかないこともあると思いますが、パラリンピックに出ている方は、健康な私よりも高い能力を持っていることが考えられます。
しかし、歩くためには、足の裏の感覚や、膝の曲げ伸ばしの筋力など、膝から下の足の機能がとても大切だということを皆さんよくご存知のはずです。
では、なぜ、膝から下の骨・筋肉・神経が全く無いのに、うまく歩けるのでしょうか?
そこがとても重要な視点となります。
それは、足を切断した面(断端)や、残存している膝関節や股関節が、義足を通じて、床面の情報や関節の位置などの情報を脳に伝えてくれているからです。
つまり、他の部位が、本来ないはずの足の裏や足首の骨・筋肉・神経の代わりを担ってくれているということです。
単純に、悪くなった感覚がよくなれば良いという、感覚の訓練をするということではなく、
足というものが、義足であっても、床に触れた感触や、床の上で体を支えてくれている感覚を取り戻すということに意味があるということです。
脳卒中では?
そう考えると、脳梗塞や脳出血の脳卒中の方は、筋肉が切れたり、神経が繋がっていないわけでは無いのですから、事実的に身体を失ったわけではありません。(認知科学的には、思い通り動かないなどの自分の体の違和感は、自分の身体を失ったとしてとらえられますが)
触れば多少は感覚を感じることができることや、思い通りとはいかないけど動かすだけなら何とかできる方の方が多いはずです。
だからこそ、本来得られるはずの感覚を得られるようにリハビリをすることで、また足がついている感覚や体をさせられる感覚が戻ってくる可能性があります。
そうなることで、脳は変化していけるので、筋肉に正しい命令を送ることができるということが可能になってくるのです。
まとめ
麻痺と義足どっちの方がいいのかという問題ではありませんが、切断の場合は、身体は失っていますが、脳はある程度正常に働きます。だからこそ、その感覚を掴むのも早いことは考えられます。
逆に、脳卒中の場合は、脳自体に問題があるので、正しい情報を捉えること自体が難しくなっています。
だからこそ、体を通して、正しい情報を取れるようになっていくことが重要だといえるのでは無いでしょうか?
このようにして、それぞれの機能回復について考えることができます。
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