座ると立つの違いとは?
前回は脳には網様体賦活系があって、脳に必要な感覚刺激を選別しているフィルターの役割があることについてお話しさせていただきました。「脳にある、いる・いらないフィルター」
本日から、「立ち上がり」について、脳に必要な情報とはどんなものか?についてお話しさせていただきます。
立ちあがりは、立位や歩行をスムーズに行なっていく準備段階としてとても重要な段階です。
うまく立ち上がれないと、重心が不安定となり、歩き出しの一歩が出にくかったり、立っていること自体が大変になったりします。
そのため、立つ準備段階として、立ち上がり方はとても大切な動作といえます。
それでは、立ち上がりについて考えていきます。
立ち上がりとは、「座った状態から立った状態へ移行する」ことをいいます。
では、「座る」と「立つ」の違いはなんでしょう?
それがなんなのかを考える時に、似ている部分と、違う部分を探す作業がとても大切です。
リハビリの際にも、患者様と一緒に探すところから始めます。
座位と立位で、違っている部分は?
・おしりが座面から離れる
・(背もたれがあれば)背中が背もたれから離れる
・股関節や膝がまっすぐになる
・体を支える部分が足の裏だけになる
・目線が高くなる
・重心の位置が高くなる
では、似ている部分は?
・足の裏が地面についている
・体幹が重力に対して起きている(猫背や反り腰はあるが、重力に対して伸びている)
つまり、似ている部分は変わらない部分で、似ていない部分は変化する部分です。
なんとなくイメージがついたでしょうか?
このようなことを考えると、座っている状態から立った状態になることが立ち上がりであり、
立ち上がることとは、「ある程度、体を重力に対して起こしていることを保ちながら、お尻や背中など体を支えている部分を足の裏に移動させて重心を高く保つこと」になります。
座っていることと、立っていることがなんとなくわかったところで、立ち上がりがその間をつなぎます。
立ち上がりも、一気に、座った状態から立った状態に変わるわけでなく、いくつかの場面の連続に分けて考えることができます。
次回は立ち上がりの場面をいくつかに分けてそれぞれのどこがうまくできていないか考えていきましょう。