重要度という概念をリハビリへ
本日は「重要度」ということについてお話ししたいと思います。
前回の話では、脳が何らかの損傷によって、情報がうまく取りきれない場合、パンクしてしまうということについてお話しさせていただきました。
脳は、身体中のさまざまな部位から情報を受け取っていることは理解していただけたかと思います。その膨大な情報量をパンクしないように、どのように必要なものだけを選別するかということについて大切な概念が、「重要度」です。
脳とカラダの研究所のリハビリでは特にこの点を重視して考えています。
「重要度」とは何を大切と感じているかです。
例えば、新しく家族ができたり、引っ越しをして交通の不便があるとすると、『車が必要だな』と思うとします。
そうすると、脳は車についての情報を取り入れようとします。
普段であれば、目の前を通り過ぎてしまうだけの車も、いまの自分にとっては、目が追ってしまったり
もともと車好きな方はスポーツカーが通り過ぎると気付くけど、ファミリーカーの方に注意が向いたり。
他には、こどもが欲しいなと思っている方は、普段は気づかなかったけれど、
町中や身の回りに、小さなお子さんや、妊婦さんが身の回りにいることがよくわかると思います。
つまり、大切だと心から感じているものは、無意識にも感覚に上がってきます。
普段は、見ているけど、見えていないものというものがたくさんあります。
では、実際に体験してみてみましょう。
①1分間くらいで、今じぶんの周りにあるものをじっくりみてみてください。
みましたか?
それでは、今度は周りを見ずに答えてみてください。
②今見た中で、「赤いもの」はいくつあったでしょう?
いくつか出たでしょうか?
③それでは、もう一度あたりを見回して、改めて「赤いもの」を見つけてみましょう。
はじめに見たときよりも、こんなところにこんなものがあったのか。と、新しく見つけたものはありませんか?
それが、見ているけど見ていない ということです。
実感していただけたでしょうか?
このことをリハビリに応用して考えると、患者様がいま感じている問題は、患者様自身が大切だと思っていることです。
そして、客観的に見ると、もっと大切なことがあるのに全然気づけていないということがよくあります。
どれくらい良くなりたいか、どこまで良くなりたいか、どんなふうになりたいか、そのためにどんなことをしなければいけないのか。
それを全部含めてセラピストは患者さんと情報を共有し、お互いの脳がとらえる共有できる情報を具体的にする能力が必要なのです。
リハビリに限らず、オリンピックの選手も、そのコーチも、サラリーマンだって
本来、人を変えるにはそのような力が必要だと思います。
それがわかるようになると、人に変化をもたらすことがどんなに大変で、でもどんなに幸せなことか気づきます。
私自身が、それを一番よく感じているので間違いありません。
もう一度周りを見渡してみてください。
あなたの今見えているものは、本当にあなたが本当に大切なものでしょうか?