【脳卒中片麻痺のリハビリ】“見た目”より“使い方”が人生を変える


前回ブログの続きにはなりますが、見た目や姿勢に強くこだわる患者さんに出会います。

例えば、円背で背中が丸くなっていても、「他人から腰が曲がって見えるのが嫌だから」と無理に姿勢を伸ばし、かえって脊柱管狭窄症を悪化させてしまう方。


**「無理をせず、楽な姿勢で元気に動ける方が大切なのに……」**と。

実はこの考え方、脳卒中の片麻痺の患者さんにもそのまま当てはまります。


見た目にこだわる片麻痺患者さんの例

脳卒中後、片麻痺となった患者さんの中にも、

  • 麻痺側の腕をポケットに隠す
  • 手が動かないことを恥ずかしく思う
  • 歩き方を気にして、無理に麻痺側の腕を振ろうとする

といった、「見た目をよく見せたい」という思いから無理な動作をしてしまうケースがあります。

こうした姿勢や動作は、かえってバランスを崩したり、疲労が強くなったり、誤用による二次障害(肩の痛みや筋緊張亢進)を引き起こすこともあります。


共通点:脊柱変形と片麻痺リハビリ

脊柱変形の高齢者と、脳卒中片麻痺の患者さんには、実は多くの共通点があります。

観点脊柱変形の患者脳卒中片麻痺の患者
原因骨の不可逆的変形脳の不可逆的損傷
問題の本質無理な姿勢でさらに悪化無理な動きで誤用・疲労・転倒リスク
治療の方向性姿勢を整え、使いやすくする残存機能を活かし、使い方を学び直す
心理的要因見た目=老化と感じる見た目=障害の烙印と感じる

つまり、どちらも**「構造や損傷そのものは治らない」**という現実がありながら、
**「使い方を最適化することでQOLは大きく変えられる」**という可能性を持っているのです。


大切なのは「動ける自分」を取り戻すこと

私たちが臨床で伝えたいのは、「見た目を捨てましょう」ではありません。

人に見られること、自分の尊厳を守ろうとすることは、とても自然で大切な気持ちです。
ただ、それによって動けなくなったり、痛みが悪化してしまうのは本末転倒です。

だからこそ、こう伝えたいのです。

💬「少し曲がっていても、少し不格好でも、元気に動ける方がずっと価値がある」

おわりに

脊柱変形の高齢者も、脳卒中片麻痺の患者さんも、「変形」や「損傷」は元に戻りません。

でも、“どう使うか”“どう生きるか”は自分で選べる

私たちはその選択を支える存在として、ただ機能回復を目指すだけでなく、
その人が「その人らしく元気に生きる」道を一緒に探すパートナーでありたいと感じています。


筆者プロフィール

代表:藤橋亮介

理学療法士 脳とカラダの研究所 代表

藤橋 亮介(ふじはし りょうすけ)

〜経歴〜
2011年 理学療法士 国家資格取得 
札幌市 脳神経外科病院に勤務

2014年 大阪府 認知神経リハビリテーションセンターに勤務

2015年 奈良県 ニューロリハビリテーションセンター
健康科学研究科(大学院)に入学
2017年 修士 取得

2019年 札幌市に戻る
児童発達支援・放課後デイサービス 事業所に勤務

2020年 独立し、「脳とカラダの研究所」 を開業

 

 

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