右麻痺に起こる運動の障害
毎度のことながら、お久しぶりです。
我が家に第一子が生まれ、ブログの存在を認識しつつもサボっておりました。
しかし、過去のブログやホームページに足を運んでくださっている方がいらっしゃいますので、しっかりと更新していこうかと思います。
北海道札幌市で脳梗塞・脳出血の脳卒中を専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。
最近、「失行症」という症状をお持ちの方がいらっしゃっておりますので、以前にも話はしていますが、改めて情報をアップデートしながら発信していければと思います。
右麻痺の7割以上が失行症?
「失行」は報告によっては、右片麻痺の5〜7割の方に起こっているといわれています。
つまり、右麻痺の人はほとんど症状があるとも考えていいでしょう。
最も症状が強い場合には、道具の使用に問題が起こります。
道具の使い方や目的がわからなくなるため、歯ブラシで髪をとこうとしたり(ブラシとか間違っている)、最悪の場合、カミソリで歯を磨いたりという報告もあるそうです。
そのような症状も、経過とともに減少してきて、日常生活には支障をきたさなくなることが多いです。
しかし、もともと症状が軽い場合は、失行症の症状が出ていても、医療者にも気づかれないことが多いのです。
なぜ気づかれないのか?
そもそも、なぜ自分だけでなく相手(医療者)からも「失行症」だと気づかれにくいかというと、
軽度の失行症では、脳卒中によって何らかの運動麻痺や感覚障害が軽度は残存しているため、専門的な知識がないと単純に麻痺のせいかと思われてしまうからです。
しかし、麻痺による運動のやりづらさと、失行症による動きづらさは、別物です。
麻痺では、運動神経がうまく働かず筋肉の収縮する力がうまくコントロールできなかったり、感覚障害によって動いている感覚が分かりにくいことで、それぞれの指がうごかなかったりして分離運動ができなくなります。
失行症の場合は、動きも感覚もある程度可能な場合が多く、分離運動はできます。しかし、失行症の場合は分離運動はできても、日常的な動作にある細かな動きになったりするとできなかったりします。(歯を磨く、顔を洗う、箸は持てるのに使いづらいなど)
そのため、失行症は運動麻痺ではなく、高次脳機能障害に分類されます。
確認してみましょう
いくつか確認する方法がありますので、心配な方は確認してみてください。
ただし、必ず他者に見てもらうことが必要です。
なぜなら、失行症の方は自分がどのようにして間違っているか(できていないか)を探すことが難しくなっている病気だからです。
だからこそ、他の誰かに見てもらう必要があります。
誰かに見てもらって、間違っていないかを確認してみてください。
① 手も足もある程度は動くけれど、なんかやりにくいと感じている。
② ある程度身体は動くはずなのに、うまくマネができない(模倣)
③ 身振り手振りのジェスチャーが下手もしくは伝わらない(手を振る や、おいでおいで など)
④ 歯磨きがしにくい。髪ブラシが使いづらい。箸を持つのが下手。などの道具の使い方が苦手。
⑤ 失語(しゃべりにくい)などの言葉の障害が軽度だがある。
このような症状がある方は、失行症と判断できることが多いです。
これらは、リハビリで軽減したり、軽快することが多いです。
むしろ、これらのせいで、いくら頑張ってもリハビリに効果や成果が出なかったという人がとても多いです。
現状のリハビリを闇雲に続けるよりも、まずは一旦疑ってみることをオススメします!
心配な方はいつでもご連絡をお待ちしております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
筆者プロフィール
理学療法士 脳とカラダの研究所 代表
藤橋 亮介(ふじはし りょうすけ)
〜経歴〜
2011年 理学療法士 国家資格取得
札幌市の脳神経外科病院に勤務
2014年 大阪府 認知神経リハビリテーションセンターに勤務
2015年 奈良県 ニューロリハビリテーションセンター
健康科学研究科(大学院)に入学
2017年 修士 取得
2019年 札幌市に戻る
こども発達研究センターに勤務
2020年 独立し、「脳とカラダの研究所」 を開業
脳卒中後遺症を専門に、あきらめない方のためにそれぞれの脳のクセにあったオーダーメイドの脳のリハビリを提供する自費リハビリをおこなっている。
少しでも伝わりやすいように動画でわかるYouTube チャンネルもはじめました。
是非ご覧ください。