左片麻痺の運動のしづらさ
北海道札幌市で脳梗塞・脳出血の脳卒中を専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。
前回は、右麻痺の運動のしづらさについて、主に「失行症」を取り上げてお話をさせていただきました。
本日は、左片麻痺の方の運動のしづらさになっているかもしれない原因の一つについてお話ししていこうと思います。
右脳の損傷
左片麻痺ということは、右脳に損傷があるということです。
左脳には特徴として言語に関する特徴があるように、右脳にも特徴があります。
一般的には、芸術脳ともいわれていますが、空間を認識する能力が高いといわれています。
そのため、右脳が損傷すると形がわからなくなったり、左側のものがわからなくなったりします。
これは、構成障害や左半側空間無視という高次脳機能障害です。
これらの症状は、日常生活の中でも簡単な検査でもわかりやすいので、発見されやすいですね。
左半側空間無視の特徴
左半側空間無視は、見えているはずなのに、認識することができない状態なので、
・左のものにぶつかったり
・左から話しかけても聞こえていなかったり
・左の方を向けない(右の方ばかり見ている)
・左の方のものを食べ残す
などがあります。
もっと詳しく分類はできますが、このようなことで日常の生活がしづらくなることが多いですね。
主には注意機能の障害ですが、このような症状は見つけられやすいです。
しかし、このような症状の背景には見落とされやすい次のような症状があるかもしれません。
脳卒中になって左半側空間無視のような症状が少しでもあった方は、次の症状が残っている可能性が高いのでぜひ確認してみてください。
左片麻痺の隠れた症状
「左右同時識別障害」というものがあります。
感覚検査で、触られた場所がどこかを確認するなかで、どちらの手か足を触ったかだけでなく、左右を同時に触ったときに、しっかりと両方一緒に触られたと感じることができるかがポイントとなります。
左側の体の感覚には問題がないと思っていても、両側を同時に触られると左側の感覚が感じ取れなくなるという症状です。
注意能力の関係で、良い方の右側の刺激に注意が向いてしまうと、左側への注意が低下してしまうことによって現れるとされています。
左右同時識別障害があると、左側の体が動作や日常生活に参加しづらくなることがあります。
検査上は、左側の運動や感覚に問題が少なくても、左右同時識別障害があることで、同時に上手く使えていないことが多いのです。
例えば、立ち上がる時は、左右の足や、左右のお尻にしっかりと体重が均等に乗っていないと、体をねじったり、右側ばかり使ってしまうことになります。
座ることも、片方のお尻にばかり体重が乗ってしまったりします。
左側が動きにくいことはわかっていても、なんだか上手くならないという時ももしかしたら、左右の同時の運動の際には、このような障害が隠れているからかもしれません。
まとめ
左片麻痺の方には、主に注意障害が現れる傾向にありますので、注意機能に関することをしっかりと考えていく必要があります。
そのなかでも左右の同時識別障害は、なかなか知らない方も多いですし、どのレベルの障害なのかによってもできることが変わってきます。
しかし、そのような症状に気づけるようになると、運動に変化が起きやすくなります。
自分一人では気付きにくいのが注意障害です。
周りの方や、担当のセラピストにも確認をしてみることがいいかもしれませんね。
本日も最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
澤口哲司様
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