動くための脳の計画

北海道札幌市で脳梗塞・脳出血の脳卒中を専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。

運動をする際には、様々な脳の活動が背骨の中にある脊髄という神経を通って、体のすみずみの神経に命令が送られて、筋肉が働くことで体が動きます。

その脳活動の中でも、運動の計画を行う2通りの命令の仕方があります。

本日は、その脳の活動についてお話ししていきます。

2つの運動の命令方法

運動は、運動野という脳の部位が活動することで行われ、運動野が活動することで筋肉が動きます。そして、この運動野を正しく働かせるために、運動を想定して計画を組む脳の部位が存在します。

この部位を高次運動野といいます。

高次運動野は、事前に運動をプログラミング(予定を組む)ことで、運動に最適な筋肉を使えるようにする役割がありますが、この高次運動野は大きく分けて2通りあります。

1つは、視覚をもとにして運動を計画します。

もう1つは、体の感覚をもとに運動を計画します。

視覚情報による運動計画

視覚情報とは、目で見た情報です。

ある位置から、ある位置まで〜というような、位置を変更するように体の部位を動かすときに活動します。

例えば、水溜りがあるときや、段差がある時に、それを避けるように、「足をあの地点まで動かそう」とするときや、

「前にあるあのコップを掴もう」というような手の運動を行うような場合に強く活動します。

体性感覚による運動計画

もう一方は、体性感覚から運動を計画するもので、体性感覚とは、体で感じる感覚です。(いわゆる一般的な感覚)

触った感触や、当たった感触、力の入る感じや体が動く感覚、こんな感触がするだろうと予測をもとに計画して動くことになります。

立つ時には足の裏に体重がドシっとのる感じや、触った時にフワッとする感触があるなど、感覚を頼りにその力加減を調整したりしてくれます。

脳卒中に多い、「被殼出血」では、特にこの運動を計画する部位との関わりが強いため、この運動の計画を立てて実行することが難しくなることが多いです。

そのため、視覚にばかり頼りすぎて、うまく体を動かせない方が多いです。

得意と苦手

脳の損傷部位によって、運動はできるけど、感覚は鈍い。や、感覚はわかるけど、運動は鈍い。どっちも苦手など。人によって様々な症状があります。

運動の予定の組み方も、運動によって異なるものや、それぞれの体の症状によっても、得意なものと苦手なものがあります。

自分が、何か運動をする際に、目で見たほうが運動がスムーズな場合と、目を閉じて感覚をうまく感じ取ったほうが動きやすいというものがあります。

自分が、どのような運動の命令の仕方が得意なのかを知っておくことは、脳のクセを知ることになり、今後のリハビリの仕方に違いが出てきます。

まとめ

ある運動をする際に、体は同じ動きだとしても、脳の活動は様々な活動をしています。

その中でも、2通りの運動の方法をお話しさせていただきました。

自分が、目の情報を頼りにして動いてしまう脳のクセがある場合、じつは感覚を頼りにすることで、もっとスムーズな運動ができることがあります。

ですが、体の感覚を感じることが苦手な場合、目の情報を頼りにしつつ、運動を促すことが重要になる場合もあります。

自分がどちらの方法で、動こうとしているのか?

このような脳のクセを知ると、リハビリの内容も大きく変わってきます。

脳のクセは自分にとって得意な方法を選択している場合が多いですが、もっと効率的に動けるヒントが隠されています。

どんな情報を頼りに運動をしているのか?

その脳のクセを把握することはとても重要ですよ。

本日も、最後までご覧いただきありがとうございました。

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