注意すること

脳とカラダの研究所では、「注意」という言葉をよく使わせていただいております。
注意という言葉は、「叱る」というような意味や、「警告する」というような印象もありますが、リハビリ中においては基本的に、『集中して』というような意味合いが大きいです。
動いたりするときに、体の部位や、体重のかかる接触面から、しっかり情報を受け取ってねという意味です。

注意というのは、『高次脳機能』と呼ばれる脳の機能です。脳が損傷すると注意する機能も正常に働かせることが難しくなることが多いです。
高次脳機能というのは、人間にあるレベルの高い機能という意味です。生物として生きるだけでなく、人間らしい要素が詰め込まれている機能です。
例えば、言葉や道具を使うことです。それができないと、「失語症」「失行症」といわれるような高次脳機能障害といわれる状態となります。
他には、記憶力や行動・認識能力の低下も含まれます。注意障害もそのような高次脳機能として捉えられます。


注意機能障害で最も有名なのは、半側空間無視とよばれる、左や右空間が見えているはずなのに、みえていないようにふるまいをしてしまう現象があります。(これについては、要望があれば後日詳しくお話しさせていただきます)

また、脳卒中の軽度な症状であっても、左右の体を同時に触ると、片方だけしか感じられない左右同時刺激識別障害というものもあります。
いずれにせよ、たくさんのものや重要なことに集中して、そのから情報を得ることができなくなることが少なからず苦手になります。

注意機能はかなり細かい分類がありますが、大まかにまず大切な分類としては、
①受動的注意 と ②能動的注意 というものがあります。

①受動的注意
・電話やメールの着信音が鳴った時に、ハッと気づく。
・買い物をしていたら、「〇〇さん』と名前を呼ばれて振り向く。
・誰かがテレビの電源をつけたとき、テレビがぴかっと光って、テレビの方を見る
など、自分の意図していないことが起こった時に、その方向にしっかり集中するというような注意です。

この機能が低下していると、周りのさまざまな物や人と関係を作るのが難しくなって、自分の世界だけになってしまいます。

②能動的注意
・このテレビドラマが見たいと思って、テレビを見る
・好きなラジオをどんな内容かしっかり聴く
・飼っている猫が太ったかな?とおもって猫のお腹を触ってみる
など、自分から何かの情報を得ようとして、働きかける際の注意です。

この機能が低下していると、自分に必要な情報を得られないため、行動をしようとしても間違った動きや結果が生じてしまいます。

受動的注意を回復させるために…となると訓練自体ではかなり難しいので、環境の設定や注意(意識)の配分を調整することがとても大切になりますので、自分一人ではかなりむずかしいです。
リハビリでは一般的にどんな状況においても、能動的注意をうまく活用させていくことはとても重要です。特に脳を活性化して、うまく体と向き合っていくためには、能動的注意をできる限りうまく活用させることが、よくなる秘訣です。


次回はその活用方法について、もう少し注意機能の理解を進めていければと思います!

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