機能解離の長期化

前回に引き続き、脳を守る仕組みとして機能するはずの「機能解離」が、脳の修復期になっても解除されずに、脳の機能を障害している可能性があることをお話ししました。
では、なぜ長期化してしまうのかについて考えていきたいと思います。

1つ目に考えられることは、単純に損傷が強い場合が範囲が広いことが考えられます。脳にとっては生命に関わる重大な出来事なので、反応が長期に続いている可能性があります。

2つ目は、損傷した部位と、特定の繋がりが強い可能性がある場合です。現在も脳の中のネットワークは全てが明らかにはなっておりませんが、一部、脳と脳の部位間での連絡が強い部位があります。その部位と関連のある部位が強く影響している可能性もあります。

3つ目は、刺激が強い場合です。

どういうことかというと、もう一度、イメージとして思い出して欲しいのですが、
機能解離は、火事になった部屋から、火が燃え広がらないように防火扉としての役割があるとかんがえられています。
つまり、脳の損傷した部位が、他の部位との連絡を取るのを一時的にやめている状態です。
その状態の時に、無理矢理扉を開こうとするとどうなるでしょう?
さらに広い範囲に、もっと硬く閉ざしてしまうはずです。
現実の場面でそれは、無理な運動を強いることにあたるとされています。

私が、働き始めた10年以上前から時代は「早期離床」でした。
単純に体力・筋力の低下を防いだりや関節の拘縮予防するためには、重要だったのかもしれませんが、早期離床するにあたっては、身体の状況を脈拍や血圧、冷や汗や表情などをバイタルサインとしかみていないのが現状です。
脳にとっては、その離床や、活動が、刺激の強すぎる場合になっている可能性があるのです。
それが、退院後も長期化しいている可能性があると考えられています。

早期離床を否定しているわけではありませんが、脳の機能がどのレベルまで受容できるのか?そのレベルを考慮しながら、少しずつレベルを上げていけることが、重要だと思われるのです。

それでは次回は、運動における刺激の量について、強い刺激とは?ちょうど良い刺激とは?を考えていきたいと思います!

情報

前の記事

脳の機能停止状態