装具について

北海道札幌市で脳梗塞・脳出血の脳卒中を専門に自費リハビリをさせていただいております「脳とカラダの研究所」の藤橋亮介です。

本日は装具について、どのように使うのか、どんな効果があるのかについてお話ししていきたいと思います。

装具の種類

装具には、体幹、上肢、下肢があります。

脳卒中の方は、体幹や上肢の装具はあまり見かけませんので、ほとんどが下肢装具を使われる方が多いと思います。

下肢装具には、長下肢装具や短下肢装具があり、どこまでの長さがあるかが変わります。

長下肢装具では、股下から足先まで。

長下肢装具

短下肢装具は、膝下から足先まで。

短下肢装具

10年ほど前までは、シューホンといわれるプラスチック製の短下肢装具がとても多かったですが、現在はあまり使われないことが多いです。

シューホン

最近とても多いのは、オルトップといわれる装具です。

私も、病院で勤務していた時は、よく利用させていただいていました。

オルトップ

使い方の違い

装具を使用するにあたって、2種類の考え方がります。

①治療用装具

主に、発症初期や、急性期・回復期といわれる、発症から3ヶ月程度までにリハビリで使われるものです。

長下肢装具も基本的には治療用装具として使用されることが多いです。

目的としては、目的とする運動を促したいときに使用されます。

例えば、長下肢装具では、膝関節や足関節(足首)などは固定されるので、ほとんど動かすことができません。(実際には筋活動は起こるので、まったく動かないわけではありませんが)そのため、主に股関節の機能を回復させるために使用されます。

短下肢装具では、足関節(足首)を固定するので、膝関節を中心に股関節などの機能を回復させるために使用します。

②更生用装具

治療用とは違い、日常生活の中で、使える機能を上手く使うために、苦手な部分を装具で補うようにして使用します。

そのため、長下肢装具のような日常的には使用しにくいものは、更生用装具としては使用されにくいですが、短下肢装具やオルトップのような軽いものや着脱がしやすいものが日常的に使用されることが多いですね。

装具の良いところ

いずれの装具にしても、装具の役割としては、固定することです。

言い換えると、介助が必要な部位です。

つまり、人手が十分足りているときには装具は必要ありません。

長下肢装具もセラピストが2〜3人いる場合は、使用する必要もなくなります。しかし、実際には1体1でのリハビリが行われるので、股関節の治療がしたいのに膝や足首も安定していないから、誰かの手を借りたい。というときに長下肢装具がかわりに介助してくれます。

短下肢装具も、自分一人で行動したいけど、足首のコントロールができなかったり、膝の使い方がうまくいかないときに、誰かの手を借りたいから、装具が助けてくれます。

そのようなことから、装具は一人では難しいところを助けてくれるので、自分が使える体の部位をうまく使えるように、助けてくれるという良いところがあります。

装具が助けてくれているおかげで、他の体の部位にも集中することができます。

装具の悪いところ

見た目や、重さ、ムレるなどの問題があります。

そのような問題は、装具の種類や材質を変えるなどして、担当のセラピストや装具屋さんと相談して決めていくこととなります。

もっと気をつけなければいけないのは、

基本的には、装具で守っている体の部位が改善することは稀です。

装具をつけて、固定している身体部位は、多少動いたり筋活動を促すことはできますが、ほとんどの場合、自分の意識からは消えていきます。

感覚も徐々に取りづらくなっていきます。

ただし、悪くなるのは装具で覆っている部分の話であって、他の部位は良く使えるようになって良くなっていると思います。

何を目的に使うかが大切

特に気をつけていただきたいのは、短下肢装具やオルトップは日常的に使いやすいので、よく使用されます。

特に、足首が上がりにくくて歩くときにつま先が引っかかってしまう方や、足の指が握ってしまう方には、自宅で生活しやすいように処方されます。

装具を使用することは、拘縮を予防して、悪い動きをしないようにする目的があるので、

とにかく安全に歩きたい。

悪い拘縮を予防したい。

という目的であれば、OKです。

しかし、装具をつけたからといって、足首が上がるようになるわけではないですし、指の握り込みが治るわけではありません。

むしろ、悪い部分が強くなっていることに気づかないで使い続けている可能性がありますので、しっかりとセラピストと何を目的に使用しているのかを共有するようにしてみてくださいね。

まとめ

どんなものでも、良い点や悪い点があります。

自分の体に合っているか、自分の目的に合っているか。ということをしっかり相談して決めていくことがとても重要です。

使い方がいいと、できるようになることが増えます。

使い方が悪いと、実は動きを邪魔しているだけというようなこともあります。

特に変わらないけど、安心感があるからつけているという方も多いのではないでしょうか?

そんな方も、その装具が何を助けるために使用しているのかをもう一度確かめてみると、本当の意味で安心を感じられるようになるかもしれません。

パラリンピックでも、装具や義足などかなり技術が進んでいるようで、私としても最新の装具の知識についてはアップデートできていない状態です。

もしかすると、デメリットを改善する装具が開発されているかもしれませんし、

最後まで、読んでいただきありがとうございます。

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